研究課題
平成4年度に引に継き、金融取引にかかる不正行為の実態調査を行うとともに、内外の資料・文献を収集して、金融犯罪の研究分析を進めた。実態調査については、銀行、弁護士、検察官等の実務家から金融取引の実態及び不正行為の事例などについて聞き取り調査を行い、法律上の問題点について意見を交換した。外国法の研究については、ドイツ法とアメリカ法を中心にして、金融犯罪に対する取り組み方を比較法的に研究した。特に重点をおいて研究した点として、第1に、ドイツにおいてもアメリカにおいても、金融取引の電算化オンライン化に伴い、金融取引に関連したコンピュータ犯罪が問題となっており、これらの実態と刑事法による対処の仕方を研究するとともに、併せて、わが国で新たに立法されたコンピュータ犯罪を解釈論的、立法論的に研究した。その際には、コンピュタ犯罪の実際についての検察官に対する聞き取り調査を行うとともに、判決例をできるだけ収集して検討した。第2に、近時国際的に問題となっている金融犯罪としてマネーローンダリングがあり、わが国でも薬物犯罪に関連して立法が行なわれたので、この点についての比較法的、解釈論的研究を行った。第3に、各種行政法則による規制については、法律ごとの分担を定めて定期的研究会において報告・討議を行った。以上の実証的、理論的研究を基に、わが国の金融取引における刑事法上の諸問題についての提言をまとめるための、研究会を行なった。
すべて その他
すべて 文献書誌 (6件)