本調査研究の目的は、JR新潟駅南部地域で急速に展開しつつある農村の都市化の実態をふまえつつ、都市化の中で農地の都市的土地利用と農村的土地利用の調整がいかに可能であるか、あるいはいかに困難であるかを実証的に調査・研究しようというものである。 具体的にはそのような土地利用の調整を目標に、亀田郷土地改良区のもとに設立された「亀田郷地域センター」の果している役割について、それの持つ意義と限界を具体的、実証的に分析しようとするものである。より具体的には亀田町工業団地の造成にあたって「亀田郷地域センター」は農家からの農地買収、代替地のあっせん、税対策等農家の農業経営基盤の変動に対して積極的な介入を行なったのであるが、それが農家の生活や農業経営にどのような影響をもたらし、その影響がどのようなものであるかを研究するものである。 本年度は最近における亀田郷土地改良区およびその周辺における農地の移動状況、農地や宅地の価格の変化、亀田郷土地改良区内の出作、入作の状況等について統計的な資料の収集とその整理を行ない、農地の宅地化の状況把握を行なった。 同時にそのような宅地化の進行のなかで、農家の生活変化を具体的に把握する目的で、亀田町工業団地の造成にあたって直接的に農地の移動に関わった農家がもっとも多く密集している集落として亀田町下早通り集落の農家約50戸の戸別聞き取り調査を実施した。 主な調査項目は農業経営の変化、農家生活の変化、「地域センター」についての意見、農業や農地についての将来展望等であった。 今後この調査結果の集計・整理を行ない、農地の宅地化が農家生活におよぼしている結果の実態、将来の農業の担い手層の問題について研究し調査結果報告の作成を行なっていく。
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