品質管理に対する認識が深まる中、品質管理活動の拡大に伴い、その経済性の測定と評価が管理会計に要求されている。既存の会計制度が品質管理に関する経済的情報を提供できないために、この問題解決に向けて、管理会計手法として、品質管理活動の測定・評価法が、アメリカおよびイギリスにおいて模索されてきた。そこで、本研究の目的である品質原価計算の今日的課題の検討および品質原価計算の体系化という問題を研究計画に沿い、検討をすすめてきた。 本年度は、上記研究目的を達成するために、その基礎研究を中心に品質管理および原価計算に関する国内・外の文献および資料の収集を行うとともに、品質管理専門家へのアンケートおよび聞き取り調査研究を行った。聞き取り調査においては、税理士、沼恵一氏より国内中小企業の品質管理および原価計算について実態に即して説明をうけた。 各研究者のテーマ別研究においても、研究会等において進展がみられた。品質原価概念およびその定義の変遷、品質原価計算の変遷、品質原価の集計、品質原価報告システムおよび品質原価分析という報告がなされた。その結果、品質および品質原価概念上における統一的把握が得られた。その研究過程で、品質概念が、未だにその範囲を拡大する傾向にあり、アメリカおよびイギリスでは、品質を生産性との関係から、長期的な経営戦略への適用に重点がおかれつつあることが明かとなった。 本年度は、基礎的な研究をすすめてきたが、今後、研究実施計画に沿い研究を深めていく予定である。
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