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(1)公武寺社のそれぞれにみられる固有の性質、またその格差を明らかにすることを目指した研究では、洛中御所と山荘御所とのちがい、施設構成にみる権門の特質、寝殿の規模に応じた平面、外観形式の変化の様相を調べており、とくに小規模寝殿の平面変化とその社会的広がりについて新たな史実を見出しつつある。
(2)権門の拠点である京都が巨大化するにともなった自然との関係の変化また住空間構成の変化に関して、とくに都市生活と周辺の山との相互作用に集点を合せて史料収集を行い、都市と山との多彩な関連を明らかにしつつある。
(3)中世都市領主の家産的な居住地形成と居住形態について祇園社を事例として個別研究を進めている。
(4)荘園に少なからず存在した寺庵と惣堂の平面形式を明らかにすることができた。京都荘園の一つ植松庄の琳阿弥邸が寺庵として寄進されたことはよく知られているが、寺庵や惣堂を明らかにすることを通して、在地の居住の実態に迫ることを試みている。
以上の研究を進めるとともに、中世住宅史の全体像を描く試みを行ない、一応の概論を作成した。これは、研究会で配布し、研究者の批判をまっている。
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