研究課題/領域番号 |
04451120
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
倉内 宗一 東京農工大学, 農学部, 教授 (70143633)
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研究分担者 |
渕野 雄二郎 東京農工大学, 農学部, 助手 (60015104)
鈴木 幹俊 東京農工大学, 農学部, 助手 (90014969)
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キーワード | 大規模稲作農家 / 農業生産法人 / 稲作受託組織 / 地代差引農業所得 / 小作料 / 耕作放棄地 / 集団的土地利用 / 農業協同組合 |
研究概要 |
農業センサス及び実態調査によれば、特に平坦水田地帯では世代交代を契機とする農業離脱が農地所有権を保持して貸し付けの形態で多発、他方それらの農地を借地して規模を急速に拡大する経営体がみられる。その際、借地経営体は集団地を形成して効率的な経営を営むことを志向しはじめているが、同時に貸し付け希望農地に借入者がなく耕作放棄地になっているものもある。また米生産費調査によれば、大規模稲作農家の収益性は稲作作付け規模7-10haが最も高く、10haを超えると収益性は低下する。稲作協業経営体では15-20haが最高の収益性を示し、20ha以上はやはり低下し、「専業農家型」「集落営農型」「中間型」区分では、「集落営農型」がやや低い収益性をしめすが、「専業農家型」と「中間型」の差はあまりない。稲作受託組織では、受託農家の生産性が高く、委託農家は受託農家と比して収益性はやや低いものの一般の稲作農家よりも収益性は高い。 大規模経営体を育成するとともに農業に必ずしも関心を持たない土地貸し付け層との関係を調整して、個別経営体のみならず零細兼業農家を含めた地域全体の生産性を高めていくという観点が需要になっている。そのためには、(1)機械化技術の開発とそれに適応した大型圃場の形成(2)水管理の装置化・自動化、といったハード面もさることながら(3)零細兼業農家や土地貸し付け非農家との協力関係に関する合意の形成が特に重視される。それは広い意味での(4)分散錯圃の是正に至らねばならないが、集落を合意の基礎単位としつつそれを超える地域を視野に入れることも必要であり、さらには農地の権利関係として明確に確定しない作業受委託や交換耕作なども包含した対応を不可欠とするので、農協などが組織的に関与することも重要である。こうした対応を実現しているところでは、上述の収益性の下げ止まり現象は見られないことが実態調査結果の分析で判明した。
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