研究概要 |
本研究の目的は、日本農業を環境保全および生態系保全という新しい社会的目標といかに両立させうるかについて,社会科学および自然科学の両面から実証的に解明することである。そこで、代表者の嘉田は,欧米諸国における環境保全型農業の動向と政策対応を中心に,まず主要文献のレビューを行うとともに,和歌山県と滋賀県における実態調査を基礎として,水田のもつ多面的機能ないしは外部経済効果について計量的に明らかにした。同時に,持続的農業の具体的実践例をとりあげ,それらの実践的課題および必要な政策対応のあり方について言及した。 分担者の宮崎は,わが国畜産におけるフン尿処理のあり方と堆肥化にかかわる技術的課題を現地調査を基礎として明らかにした。同じく渡辺は,琵琶湖水系を対象とするモデル解析により,水田および各種の水田管理方式ごとに流域の水環境の差異と変動について詳細な分析を行った。津田は,農薬使用がもたらす水田農業と地域の生態系におよぼす影響について究明を行うとともに,減農薬稲作の可能性について計量的な解明を試みた。一方,小田は農業経営分析の手法により,農業経営現模と持続的農業(主として特別栽培米の生産)との関係について明らかにした。以上,2ヶ年の研究成果をとりまとめ,本年度においては研究会の成果として報告書の形で研究とりまとめを行った。
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