自分の感情の変化について具体的な言葉で伝達することが未熟な幼児や小児の情動の変化を心拍数、呼吸数、外部情動、音声の変化として捕らえ、それらを分析することによって幼児や小児にとって最適な状態での歯科診療の方法を見出すことを目的として本研究を開始した。 情動の変化を記録するための動態心電呼吸ビデオ記録装置は場所を選ばずに、被験児の自由な行動を抑制することなく記録できるように考案したものである。心拍数と呼吸数は右鎖骨下と剣状突起の高さの左右腋窩線上に貼付した心電図用電極より導出し、被検児のウエストポーチに固定された発信機(ZB-521)より無線電波として発信しそれを受信機(UP-0206)にて変調してビデオテープの右音声チャンネルに記録する。また音声はビデオカメラのステレオマイクよりビデオテープの左音声チャンネルに、外部情動はビデオカメラ(CCD-V200)を通し映像として記録する。心拍数、呼吸数、外部情動、音声はビデオデッキ(BR-S3600)にて同時に一本のビデオテープに記録する。収録したビデオテープを随時再生し、右音声チャンネルに記録したものは再び変調して心拍数、呼吸数に分離してサーマルアレイレコーダ(RAT-1200)にて記録紙に記録する。同時に外部情動の変化(音声も含めて)はカラーモニター(KX-4M1)にて行動の観察を行う。 予備実験および本実験で日常行動や種々の治療行為時のそれぞれの変化を比較検討した結果、心拍数は情動の変化に呼応して明確な変化を示すことを確認し、外部情動および音声も容易に行動観察を行えることが明確となった。しかし、呼吸数に関しては緊張時の浅い呼吸の検知限界や緊張時の息詰め等により比較可能な数の変化として捕らえるのが困難な点は更に検討を必要とする。
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