研究概要 |
1.児童生徒の高次思考能力の形成過程の実証的分析と授業実践 (1)統計問題に対する基礎的理解力-構成力・解釈力の比較調査:統計テスト問題に対する児童生徒の問題解決過程の分析から,問題を数学的に考え,作り上げていく構成力育成が極めて重要であることが明らかになった。 (2)小学校求積課題に対する問題解決過程の分析:3水準の異なる課題特性をもつ問題に対する児童の解決過程から,手順的公式運用-組み合わせ的な等積変形手順運用-高次概念変換運用(図形の性質利用)間に大きなギャップがあることが判明し,数学的知識の運用(推論・思考力)の重要性が明らかにされた。 (3)定常的問題-非定常的問題に対する問題解決能力:皆無に近いアルゴリズム的思考の分野に挑戦し,思考能力を定義し,定常-非定常的テスト問題を試作実施し,教科書にない非定常的問題の正答率は極めて低く,数学学力との相関も低い。モデル構成力育成を基盤にした数学カリキュラムの設計論に大きな意義を得た。 2.高次思考能力育成のための数学カリキュラム開発とデータベース化 (1)数学の「よさ」を感得させる中学校数学カリキュラムの開発と授業実践:より高次の数学学習に関与するスキーマの指導モデルの開発を目指し,数学概念の「よさ」を感得させるカリキュラムを開発し,授業実践を行った。評価の結果,高次のスキーマ指導モデルの設計論の具体的提案と生徒の理解特性が明らかになった。 (2)数学の帰納的学習を支援する電子テキストの設計と開発:また,データベース化されたデータの具体的な利用方法として,高校数学において帰納的学習理論に基づく数学カリキュラムの設計と,Mathematicaを利用した電子テキストを開発した。
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