研究課題/領域番号 |
04452006
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岸本 晶孝 北海道大学, 理学部, 教授 (00128597)
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研究分担者 |
綿谷 安男 北海道大学, 理学部, 助教授 (00175077)
林 実樹広 北海道大学, 理学部, 助教授 (40007828)
儀我 美一 北海道大学, 理学部, 教授 (70144110)
中路 貴彦 北海道大学, 理学部, 教授 (30002174)
岡部 靖憲 北海道大学, 理学部, 教授 (30028211)
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キーワード | 非可換力学系 / エルゴード性 / ローリンの性質 / 自己同型写像 / 正準反交換関係 / 無限テンソル積 |
研究概要 |
主たる成果は、正準反交換関係を満たす系におけるいわゆる準自由な自己同型写像についてのエルゴード的性質の究明である。正準反交換関係は作用素環としては2行2列行列の無限テンソル積として表わされるが、この環の自明な自己同型写像として無限テンソル積としてあらわされるものがある(2行2列行列の無限テンソル積を任意の無限テンソル積として再表現することにより)。示したことは、上述の準自由な自己同型写像が内部自己同型による摂動を加えるとこの型になることである。つまり、シフトのような強いエルゴード性(漸近的可換性)を示す自己同型でも内部自己同型による摂動で、強い意味でエルゴード性を失いうる。これは次のようにも解釈できる:十分に非可換な系は可換系よりも簡単な性質をもつ。この証明で重要な役割を演じたのがローリンの性質であり、ノルムで閉じた作用素環の範囲での初めての非回明な結果であるといえる。また、この種の結果は、作用素環の分類に関する結果より多くの場合に成立つことが予想されているが、それは今後の課題であろう。(弱いローリンの性質の必要十分条件はほぼ分っているが、ローリンの性質との関係は分っていない。)一径数自己同型群の場合も今後の課題である。この場合でも、上述の「内部的摂動でエルゴード性を失なう」に対応する性質は示せるが、ローリンの性質のようないわゆる相転移とも関係しそうな性質については何も分っていない。 新たな力学系として、超対称的な力学系が今後重要になる可能性がある。この問題の研究にも着手し、予備的な結果を得た。
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