研究課題
一般研究(B)
本研究は、銀河系星間空間に浮遊する固体微粒子(星間塵)が放射する遠赤外線を観測することにより、星間雲の放射エネルギーの供給源を特定しその存在形態を調べることにより、星間雲の成立ちを研究することが目的であった。まず、効率良く強度マッピングできるように、新たに8素子の遠赤外リニアアレイ検出器を開発した。これは世界的に見て最高の感度と素子数を達成したものである。また雑音赤外線の少ない軸外し望遠鏡を製作し、気球搭載観測装置として完成させた。次ぎにこれを三陸大気球観測所から放球し、中心波長160μmで銀緯20度から45度の銀河面の強度マップを得た。この波長帯はIRAS(赤外線天文衛星)がカバーしておらず、一方COBE(宇宙背景放射線探査機)は空間分解能が0.7度と悪く、本観測はこれらのギャップを産めるものである。データを解析した結果、銀河系に分布する星間塵はかなり等温であり、従ってその主要エネルギー源である早期型星近傍に局在するよりはむしろ、比較的一様に分布していることが明らかになった。このことは、我々のグループの炭素イオン線の観測から得られた結論と同一のものである。今後は銀河系星間物質のより詳細な研究及びこれらの研究を系外銀河に応用していくことが重要になるであろう。
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