研究分担者 |
半田 利弘 東京大学, 理学部天文学教育研究センタ, 助手 (40202270)
宮地 竹史 国立天文台, 野辺山宇宙電波観測所, 助手 (10182023)
川口 則幸 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (90214618)
浮田 信治 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (20184989)
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研究概要 |
従来の反射式電波望遠鏡で超大口径(直径数100m以上)のミリ波帯のアンテナを作るのは事実上不可能である。屈折式の電波望遠鏡(以下レンズアンテナ)は、鏡面変形による光路長の変化を受けにくいので、鏡面精度と指向精度の点で現在の反射式アンテナの限界を打ち破れる.また逆に同じ波長域なら軽量で大口径の望遠鏡が作れる。これらの特長を4m級の小型モデル機を製作し、性能と問題点を明らかにするのが本研究の第一の目的である。 前年に引き続き架台の開発・設計・製作を行った.大きさと重力バランスの観点から経緯台方式としたが、F比が2と通常の電波望遠鏡よりかなり大きいので腕立て伏せをしている人が身体を起こすときのように腕によって鏡筒を持ち上げて仰角を変える方式とした.方位角レールは,エポキシ流し込み後,重力によって平面を出す方式の耐候実験を行ったが,エポキシの硬化後収縮に問題があり,ナットによって高さ調整をする方式とした. 架台部については,波長がcmを切るような短波長の望遠鏡を,通常の10分の一程度の非常な安価に作れた.しかも,施工,組立,解体,再組立の全工程を通じてその研究スタッフ・学生程度でも行えることを示し,かつ1mm程度以内のすばらしい精度を実現できた.これで,レンズアンテナの持っている「製作が容易」という本質的な特徴による可搬性と普及性を実証できた. レンズ面上で位相を変化させる金属パターン形状を開発するため,理論解析を行った.その結果,パターンをかなり簡略にしてかつ一層だけからなるレンズ面でも,望遠鏡の開口効率は理想的なレンズに比べて数分の一になるに留まり,充分にレンズアンテナの優位性を保てることがわかった.来年度は簡略でより性能の良いレンズ面の開発・実装し,アンテナとしての性能を評価する予定である.
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