研究課題/領域番号 |
04452019
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
李 相茂 筑波大学, 物理学系, 助教授 (10175028)
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研究分担者 |
松瀬 丈浩 信州大学, 繊維学部, 助教授 (30027354)
溝田 武志 筑波大学, 物理学系, 助手 (20239263)
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キーワード | 原子核の高励起状態 / 核分裂ダイナミックス / Pre-Scission evaporation / 3π phoswichカウンター / Plasma Desorption Mass Spectroscopy / C_<60>クラスター / ハートリー・フォック / 多次元トンネル現象 |
研究概要 |
本年度は原子核の高励起状態からの核分裂ダイナミックスの研究で重要な発展があった。質量数〜110附近の中重核の系に対して高励起複合核(E^〓〜200Mev)を作り、核分裂と蒸発過程の競争を運動学を駆使して、分裂前のPre-scission evaporationとPost-scission evaporationを送別して測定した。これは、理研リングサイクロの重イオンビームを用いて、phoswich counterの3πアレーを使い軽粒子を捕えた。すると、約90%に近い大部分が分裂前のpre-scission decayをする事が分り、それも分裂質量分布の対称、非対称に拘らず寿命はほゞ一定である事が結論として出た。これは質量数〜180の重い系で見られた質量の対称成分で寿命が長く非対称成分では短いという結論とは異なっている。 クラスターの分裂過程に対しては、構造が異なるグラファイトとC_<60>の簿膜(〜50μg/cm^2)に^<252>Cfの核分裂片を当て、クラスター質量分布をPlasma Desorption Mass Spectrometryで測定した所、C_<36>より軽い成分ではH基を付けた同一な質量分布が両者のターゲットで見られ、それより重い成分では、グラファイトでは何も出ずC_<60>の膜からは遇数でn=52〜98まで見えた。即ち、膜のhotプラズマ領域では炭素原子はプラズマ化し、その両結合でC_<36>まで構成される事が分り、C_<60>やC_<70>は非破壊クラスターの2次イオン生成と共にC_2を単位とする多重崩壊または両結合が起っている。その他、コルトロンイオン源によるC_<60>イオンの生成に成功しており、理論分野でもクラスター構造のハートリー・フォック計算が進んだ。これらの成果は3月3日理研の国際公試で発表された。この研究の基礎に立って、今春「重点領域多次元トンネル現象」の提出が企画されると共に春の学会シンポジウムが予定されている。
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