平成4年度に制作した実験装置の改良と、データ収集プログラムの開発及び測定系の振動の評価を行った。 本実験では2枚の平面金属板をマイクロメートル程度まで近づけること及び精密上皿天秤を用いることから、測定系の振動と空気の対流を極力減らさなければならない。平成4年度に試作した装置では粗動用の手動マイクロメータを動かす度に装置全体が振動し空気対流も起きるので、安定かつ系統的な測定が困難であった。そこで今年度は粗動に移動レンジ15mm、分解能250nmの電動アクチュエータを使うように改良した。これにより測定系全体をコンピュータで遠隔操作できるようになり、不必要な振動・空気対流が防げるようになるとともに系統的な測定が可能となった。さらに振動を抑制するために装置全体を空気バネ式の卓上防振台の上に設置した。またクリーンルームと2重の風防を設置し空気対流と埃の影響を除去できるようにした。 この測定系の振動を今年度開発したデータ収集プログラムを使って測定した。十分に離した2枚の金属極板間距離の時間変動を測定した結果、振動は50nm以下に抑えられることがわかった。 また金属板間の絶対距離については金蒸着面の脇にシリコンでコートしたアルミニウムを金より厚く蒸着し、そのアルミニウムの部分を接触させることで零点を出すようにした。さらに金とアルミニウムの蒸着面の高さを正確にマッピングしその情報を反映することで、絶対距離の精度をより上げる方法を考案した。現在このマッピングの結果を待って測定を開始する予定である。
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