研究課題/領域番号 |
04452023
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野村 亨 東京大学, 原子核研究所, 教授 (60087393)
|
研究分担者 |
森田 浩介 理化学研究所, サイクロトロン研, 研究員 (20250110)
池田 伸夫 東京大学, 原子核研究所, 助手 (70193208)
久保野 茂 東京大学, 原子核研究所, 助手 (20126048)
|
キーワード | 超重原子核 / 気体充填型反跳核分析器 / アルファ崩壊 / 自発性核分裂 |
研究概要 |
前平衡アルファ粒子放出は不完全融合反応の典形的な現象である。われわれのまとめたシステマティックスによれば、超重核生成に適当な衝突エネルギーで、かなり大きな確率をもつ。しかし、超重核領域では、大きなクーロン障壁のため、前平衡アルファ粒子放出が通常より極めて小さいという報告もあり、実験的にチェックする必要がある。この目的のため、^<238>U(^<40>Ar,αxn)^<274-x>108反応の実験を行い、その結果を解析中である。なお、上記の反応を現代的な精密実験手法で実施したのは本研究が最初で、その実施のため下記の実験技術の開発・改良を行った。 1.超低速重イオン収集に適する気体充填型反跳核分析器の特性試験 2.大面積マイクロチャンネルプレートを用いる飛行時間測定法の確立 3.超低速重イオンの質量分析法の研究 飛行時間とエネルギー情報から超重核の質量を決定できるが、半導体検出器を超低速重イオンに適用すると、得られるパルス波高値はエネルギーに比例しない。本研究ではアメリシウム核に対しその効果を世界ではじめて測定することに成功し、その原因が重核の半導体中における核阻止能に由来することを示した。 上記の反応についてこれまで解析した結果によれば、約2週間の測定期間中に、質量数275±10をもつ重核が2〜3事象観測され、その核は寿命1秒以内に9.35±0.05MeVのエネルギーをもつ未知のアルファ崩壊を行い、その娘核(あるいは孫核)は数日後に自発性核分裂で崩壊する。この事象は、未知の^<272>108核に対する理論的予言と一致する。このため、実際、上記の反応が検証された可能性があり、現在、実験結果を慎重に解析している。これらの予備的解析結果は、二つの国際会議で発表し、批判を迎ぎ、精密解析の参考とした。
|