研究課題/領域番号 |
04452029
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
核・宇宙線・素粒子
|
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
本林 透 立教大学, 理学部, 助教授 (20116114)
|
研究分担者 |
下浦 享 立教大学, 理学部, 講師 (10170995)
阮 建治 立教大学, 理学部, 教授 (40062583)
家城 和夫 立教大学, 理学部, 助教授 (10159577)
白土 〓二 立教大学, 理学部, 教授 (90062562)
|
研究期間 (年度) |
1992 – 1993
|
キーワード | 中性子過剰核 / 不安定核ビーム / クーロン励起 / E2遷移確率 / マグネシウム32 |
研究概要 |
軽い中性子過剰核の基底状態(0^+)第一励起状態(2^+)間の換算転移確率B(E2)をクーロン励起によって決定する実験的方法の確率を目的として研究を行った。その第一歩として不安定核^<32>Mgをビーム、^<208>Pbを標的核とし、非弾性散乱によって励起された2^+状態からのγ線強度を測定する実験を行った。 理化学研究所加速器研究施設において、核子当たり95MeVの^<40>Arイオンを^9Be標的にぶつけ、反応生成物中の^<32>Mgを不安定核ビームコースRIPSにより選別し、2次標的である^<208>Pbに入射した。^<32>Mgの平均エネルギーは核子当たり49.2MeVであった。非弾性散乱された^<32>Mgは厚さ400μmのシリコン検出器5枚からなるテレスコープにより識別され、励起された^<32>Mgからのγ線と同時計測された。γ線は、NaI(Tl)シンチレータ60個からなる検出器系で測定された。^<32>Mg核は光速の約30%で動いているために、観測されるγ線は大きなドップラー効果を受け、放出角度に応じてエネルギーが本来の値からずれる。この効果を補正するために、検出器系は多くの要素に分かれており、γ線の放出角度が決定できるようになっている。 測定されたγ線の強度から、γ線、^<32>Mgの検出効率、標的中での多重散乱の効果、検出器内での核反応による損失などを考慮して断面積を求め、理論的に求めた断面積と比べることによりB(E2)を決定した。測定を行った角度では、クーロン励起の強度は核力による励起の強度に比べて大きく、精度よく電磁遷移確率を求める条件を満たしている。得られた値B(E2)=426±34e^2fm^4は近傍の中性子数20の核(^<34>Si,^<36>S等)の値に比べ3-4倍大きく、^<32>Mgが中性子魔法数を持つにもかかわらず大きく変形していることを示している。 これは中間エネルギーの不安定核を用いてB(E2)を決定した最初の実験であり、B(E2)の知られていない多くの軽い中性子過剰核研究に展望を与えることとなり、当初の目的を果たすことができた。
|