研究課題/領域番号 |
04452035
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井野 正三 東京大学, 理学部, 教授 (70005867)
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研究分担者 |
長谷川 修司 東京大学, 理学部, 助手 (00228446)
霜越 文夫 東京大学, 理学部, 助手 (00013409)
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キーワード | 走査電子顕微鏡 / エピタクシー / 表面構造 / 半導体表面 / 反射高速電子回折(RHEED) |
研究概要 |
本年度は「結晶試料の表面状態検出用の小型真空槽」を作製し、これを超高真空走査電子顕微鏡(UHV-SEM)と連結した。これにより試料表面の構造は反射高速電子回折(RHEED)により、表面の元素分析は全反射角X線分光(TRAXS)により前もって詳しく調べ、その試料をUHV-SEM本体に移送し、そのまま真空を破ることなく、SEM観察ができる装置として完成させた。 次に、Si(111)上にBi、In、Sb、Au、Agなどを蒸着し、これらのエピタクシー過程における表面構造や表面組成を詳しく調べ、同時にそれらの試料表面をSEMにより観察した。Si(111)-7×7表面上にBiを1ML(原子層)吸着させ、その後530℃〜600℃に加熱すると√<3>×√<3>-Bi 構造のRHEEDパターンが現れた。この構造の2つの超格子反射点(1/3、1/3)、(2/3、2/3)の強度は、加熱を続けると時間経過と共に各々異なった強度変化をすることが発見された。この解析によりα-√<3>×√<3>とβ-√<3>×√<3>の2種類の√<3>×√<3>構造が存在することが実証された。またこれらの構造を示す表面の元素分析をTRAXS法により行った結果、α-√<3>×√<3>およびβ-√<3>×√<3>構造の表面におけるBiの吸着量は各々1/3、2/3原子層であることが明かとなった。 この試料をSEM内に移送してSEM観察を行った。その結果3種類の明るさのコントラストB(β-√<3>×√<3>)、M(α-√<3>×√<3>)、D(7×7)として観察された。コントラストBやMは下地表面のステップや7×7構造の逆位相境界に沿って現れることも明瞭に観察された。またこの様なSEM像のコントラストはエネルギーバンド構造の情報を含むことも示され、UHV-SEMは表面研究の新しい有力な手法であることが本研究により明かとなった。
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