研究課題/領域番号 |
04452036
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹内 伸 東京大学, 物性研究所, 教授 (60013512)
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研究分担者 |
鈴木 邦夫 東京大学, 物性研究所, 助手 (50107439)
枝川 圭一 東京大学, 物性研究所, 助手 (20223654)
木村 薫 東京大学, 工学部, 助教授 (30169924)
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キーワード | 準結晶 / 近似結晶 / 電気伝導 / 電子の弱局在 |
研究概要 |
1.Al-Pd-Mn系:この合金系については、液体急冷・熱処理によってかなりの組成範囲で良質のI相準結晶を得ることに成功した。抵抗値は組成によって大きく変化し、その温度依存性は、Mn濃度が9%以下の合金では温度の低下と共に上昇し、数10Kで極大を示したのちさらに低温では減少した。磁気抵抗効果は正で温度に依存した。これらの結果は、福山ー星野によるスピン軌道散乱を考慮した弱局在理論によって良く説明することができた。高Mn濃度のI相では、抵抗値が極低温で急激に増大する成分が現れ、磁気抵抗効果も負になる。この現象は、高農度Mn合金ではMnの一部が磁気モーメントを持つことから、近藤効果に基づくものと解釈される。 2.Al-Pd-Re系:この合金系でも液体急冷・熱処理によって良質のI相が得られた。抵抗値は著しく合金組成に敏感で、ある組成の合金では13万μΩcmというこれまで報告されている準結晶の最高値の数倍にも達する極端な高抵抗値が得られた。その温度依存性と磁気抵抗効果はやはり弱局在理論で解釈することができる。 3.Al-Cu-Ru系:組成や熱処理条件を細かく変えることにより、2種類の組成領域でI相が形成され、その周辺で1/0および1/1の立方晶近似結晶が生成することを見出し、これらの相について単相試料の作成を試みた。電気抵抗はある組成領域のI相のみ高抵抗(7千μΩcm)であった。この試料のホール係数は全温度域で正になる異常を示し、ホール易動度は温度に依存しないという結果が得られた。他の低抵抗の試料ではホール係数は負であった。 4.Al-Co-Nc系:この系では規則相と不規則相のD相および種々のD相の近似結晶が存在することが明らになった。D相近似結晶の単相単結晶の作成を試みている。
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