研究課題/領域番号 |
04452038
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
西田 信彦 東京工業大学, 理学部, 教授 (50126140)
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研究分担者 |
大熊 哲 東京工業大学, 極低温システム研究センター, 助教授 (50194105)
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キーワード | 超伝導-絶縁体転移 / Kosterlitz-Thouless転移 / 二次元超伝導体 / グラニュラー超伝導体 / アモルファス超伝導体 / 超伝導揺らぎ |
研究概要 |
乱れのある二次元超伝導体において乱れの度合いを大きくしてゆくと電子は極在し絶縁体となると考えられる。絶対零度においてこれは乱れの度合いをパラメーターとして起こる相転移と考えられ、超伝導-絶縁体転移の問題とよばれる。我々は超高真空蒸着装置中Nb原子を蒸発させそれを液体ヘリウム温度の基板に急冷蒸着させることによって、3A程度の厚さから0.1Aのオーダーで膜厚をコントロールしてアモルファスNbの超薄膜を作成することに成功していた。この一連のa-Nb膜を用いて上記の超伝導-絶縁体転移を実験的に研究した。 零磁場下の二次元超伝導体では二つの転移が観測される。秩序変数は複素数で表されるが、その大きさの揺らぎがおさまりクーパー対が十分多数作られる平均場転移温度(T_<c0>)と、さらに低い温度において熱励起されて生ずる渦と反渦が結合し位相の揺らぎがなくなるKosterlitz-Thouless転移温度(T_<KT>)の二つである。本年度、膜厚を系統的に変えてT_<c0>とT_<KT>がいかに変化するかを調べた。膜厚を薄くしてゆくとT_<KT>のほうがT_<c0>よりはやく零になることがわかった。これはクーパー対は十分多く存在するが位相の揺らぎにより超伝導が破壊されている新しい相の発見と考えられる。この結果は、第20回低温物理国際会議に発表し注目を集めた。
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