研究課題/領域番号 |
04452038
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
西田 信彦 東京工業大学, 理学部, 教授 (50126140)
|
研究分担者 |
大熊 哲 東京工業大学, 極低温システム研究センター, 助教授 (50194105)
|
研究期間 (年度) |
1992 – 1994
|
キーワード | 超伝導-絶縁体転移 / Kesterlitz-Thouless転移 / 二次元超伝導体 / アモルファス超伝導体 / 超伝導ゆらぎ / 近接効果 |
研究概要 |
乱れをパラメータとして起こる超伝導-絶縁体転移の問題を、我々は超高真空中において極低温基板に高融点金属Nbを急冷蒸着して作成したアモルファスNb超薄膜の電気伝導度を超高真空「その場」測定することによって研究してきた。この方法で3Å程度の厚さから0.1Åオーダーで膜厚を制御してアモルファスNb超薄膜を作成することができ、超伝導-絶縁体転移に関して精密実験が可能となった。アモルファスNb薄膜の平均場超伝導転移温度(T_<co>)とKosterlitz-Thouless転移温度(T_<KT>)を測定した。膜厚を小さくしてゆくとT_<co>低下してゆく。超伝導が消失する超伝導膜の面電気抵抗値は、h/4e^2(約6.4kΩ)に近いが普遍的な値ではないことを示した。T_<KT>の膜厚依存性の測定は、今までに測定されたことのないものであるが、膜厚を薄くして行くとT_<KT>のほうがT_<co>よりはやく零になることを見つけた。このことは、ク-パ-対は存在するが位相の揺らぎが大きく超伝導が破壊されている新しい相の発見と考えられる。この成果は、朝光敦君が、1994年3月東京工業大学理工系大学に博士論文として提出し、博士の学位が与えられた。また、T_<co>より上の温度における精密な電気伝導度測定によって超伝導揺らぎに対する電子局在の効果を研究した。この二つの成果は、49回の日本物理学会年会(福岡)において発表された。さらに、超伝導薄膜のT_<co>が膜厚とともに低下する理由は未解決の問題であり、それを解明するために、我々のアモルファスNb超伝導薄膜に、常伝導金属Agを0.1Åのステップで蒸着しその低下のAg膜厚依存性を測定した。超伝導近接効果として説明できる。この結果は50回日本物理学会年会(神奈川)において発表する予定である。
|