1)Br-アダマンタン結晶オーダー相、セミオーダー相の結晶構造を4軸X線回析計により決定し、プラスチック相については、単位胞内の電子密度分布をマキシマムエントロピー法により得、一部国際結晶学会で報告した。しかし、プラスチック相の独立なブラック反射数は、30数個に限られており、位相決定に不確実性が残る。リジッド分子を6方向組み合わせたフレンケルモデル+並進では、充分満足できる位相が決まっていない。 2)Br-アダマンタンプラスチク相が、フレンケルモデルで充分説明出来ない理由は、分子配向相関が、回転と並進が結合した構造の重ねあわせと思われる。フレンケルモデル+並進モデルでは、Br同志の平均位置は、近づいている。これは、分子同志の配向が動的に動き回り、各Br同志は同時には、かち合わないためである。このモデルでも充分正しい位相をあたえない。したがって、回転一並進結合モデルの6方向重ね合わせを考える必要がある。プラスチック結晶では、測定可能なブラッグ反射が50以下に限られているため、できるだけ少ないパラメーターで本質を捕まえるモデルが重要であり、Br-アダマンタンのプラスチック相ではいまた決定的なモデルは、得られていない。 3)このため本年度は比較的フレンケルモデルで位相が決定できるCN-アダマンタンのプラスチック相のプラスチック相を平成4年度の科研費で購入したX線4軸解説計結晶構造回析し、さらに単結晶を低温にクエンチし、配向グラス単結晶を得た。配向グラス単結晶状態での結晶内分子配向平均構造の温度変化を4軸X線結晶構造解析により調べた。現在解析中である。 4)CN-アダマンタンプラスチック相の配向相関測定のためX線4軸回析計によるX線散漫散乱の測定中である。
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