研究概要 |
今年度はGdMn_2O_5およびDyMn_2O_5に集中して研究を行い,以下の結果を得た. 1)GdMn_2O_5は39K(T_1),26K(T_2)および18K(T_3)で相転移をする.T_1は反強磁性相転移点で同時に誘電的秩序が形成されている可能性が高い. 2)T_3では,Gd^<3+>のスピンの秩序化とそれにともなうスピン再配列が起こっていると考えている.この相の電気磁気効果はきわめて大きい. 3)T_3以下の低温相の磁気対称性はm2m1'である. 4)T_3以下の相は約60kOe以上の強磁場の下でスピンフリップ転移をする.スピンフリップ相を通過するごとに,電気磁気効果の極性が逆転する. 5)DyMn_2O_5は44K(T_1),32K(T_2)および18K(T_3)で相転移をする.T_1は反強磁性相転移,またT_2は誘電相転移であると考えている.すなわち,この結晶では,2種類の秩序の発生する温度は異なる. 6)T_3以下の磁気対称性はm1',また,T_3とT_2の間の温度での磁気対称性はmm1'である.これらはWillkinsonらが中性子回析の結果から主張しているスピン構造の対称性と一致しない. 以上の結果はすでに雑誌論文あるいは学会講演として公表した.さらに,次年度以後の準備として,SmMn_2O_5,TbMn_2O_5およびYMn_2O_5の単結晶を作成した.これらのうち,TbMn_2O_5とYMn_2O_5とについてはすでに電気磁気効果などの測定が進行している.また,今年度購入したクライオスタット装置を用いて,十分に制御された温度の下で,微小な磁気モーメントを検出するシステムを整備している.
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