桿菌に層する枯草菌、大腸菌、サルモネラ菌などのコロニーが、栄養分の濃度が低く寒天培地が比較的固い場合にDLAパターンに類似した自己相似フラクタルパターンを呈することを確認した。これはある極限的な状況でかなり普編的にフラクタル・コロニーが見られるという、重要な発見である。 枯草菌について、栄養濃度と寒天濃度をパラメータとしてコロニー・パターンを観察し、自己相似フラクタルなDLAパターンやコンパクトなEdenパターン、枝別れの密集したDBMパターンなど典型的なパターンの遷移を調ベ、コロニー・パターンの相図を確立した。これらのパターンはいずれも物理・化学系で観測されており、コロニー形成が大局的には物理学的に理解できる可能性があることを示す。また、パターンの遷移はコロニー内で個々のバクテリアが動き回ることができるようになるという、運動性の発現によって誘起されることを運動性のない変異種を使って確認した。 現在、栄養濃度が高く寒天培地が柔らかいときに得られる一様に広がる単純なコロニー・パターンは数理生物学で知られるフィッシャー方程式で記述される可能性があることを確認しつつある。
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