〈平成4年度研究実績の概要〉 1.目的 我々の研究目的の一つは、熱音響効果によって発生する気柱自励振動の発生条件(安定曲線)を実験的に明らかにすることであった。特に我々が興味を持っているのは、流体中にヒーターなどの何らかの熱源が存在する場合である。 2.研究方法と得られた結果の概要 この研究の組織的なものは2世紀にわたり全く取り組まれていないのが現状であるため、本年度は次年度に向けた非常に定性的な実験を行った。今後の実験計画・装置の設計には大いに役に立ったのは事実である。 直径40mm、全長2mのガラス管を重力方向に管軸をそろえる。管内の中央より下部にヒーターを設置する。対流不安定性により内部流体は上昇し、それに伴い管の軸方向に急激な温度分布ができる。ある条件で対流の定常流は不安定化し内部流体が激しく振動し、大振動気柱自励振動が発生する。我々はこの現象を定量的に調べるため、ドップラー効果を利用したレーザー流束計で速度を調べ、またピエゾ効果を利用した圧力ー重圧変換器により、ある空間の一部で圧力測定を行なった。このことにより、ヒーターのパワー、位置、管壁での境界層の効果について様々な知見を得た。 以上の定性的実験を通して我々は、より詳細な実験計画・装置を設計することができた。 線形理論に基づいた値置解析のプログラムはすでに富永によって完成され、また非線形波動解析プログラムは矢崎によってすでに準備されている。
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