研究分担者 |
松本 聡 東北大学, 理学部, 助手 (40221593)
日野 亮太 東北大学, 理学部, 助手 (00241521)
海野 徳仁 東北大学, 理学部, 助教授 (30004477)
松澤 暢 東北大学, 理学部, 助手 (20190449)
堀内 茂木 東北大学, 理学部, 助教授 (00004490)
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研究概要 |
本年9月24日から,10月4日まで現地に入り,当初計画に沿ってテレメータ地震観測点,CDPケーブルによる多点観測網の設置を行ってきた.現在までに行われた予備的な観測・処理・解析からも,以下の重要な事実が明らかになった. 東北日本のような沈み込み帯では,その温度分布から強度の大きい固いプレート部分はせいぜい深さ15〜20kmと考えられ,実際,東北地方内陸の浅発地震はその殆ど(97%以上)が深さ15km以浅で起こっている.このような浅発地震の深さの下限(brittle‐ductile transitionに対応すると考えられる)は,火山地域等の地震波低速度域で局所的にさらに浅くなっていると推定される.栃木県足尾町周辺で発生している微小地震の深さの下限が,その下部に存在するS波反射の傾斜にほぼ平行であることが今回明らかになった.この反射面は,反射係数等からマグマ溜まりに対応すると考えられ,高温のマグマ溜まりが地震発生層の下限(brittle‐ductile transition)を規定していることを強く示唆するものであり,上記の推定の重要な証拠の一つとなるであろう. また,観測されたP直達波とPコーダ波のエネルギー比を調べた結果,日光白根山直下10km程度の範囲を通過する波線について,そのP直達波のエネルギーが著しく小さいことがわかった.これは日光白根山直下に地震波の異常減衰域が存在していることを示しており,マグマ溜まりに対応すると考えられるS波反射面の物理的性質を知る上で重要である.
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