研究概要 |
本研究は,我が国で初めての隕石衝突孔(Impact Crater)の発見と考えられる「高松クレータ」の地下構造調査に関するものである。. このクレータの調査は,最初我々が全国重力異常調査中に1988年香川県高松市南部で異常な測定値を発見したことから始った.このクレータは全て堆積物に覆われ地形的に認めることができない.この点で,従来幾度も提起されながらも調査の進展により存在が否定されたクレータ騒動とは全く経緯が違っている. 本研究では重力異常以外の方法でも地下構造を確認すべく,地磁気異常,地震波反射法などの地球物理学的探査を行ない,クレータの構造をかなり明確に描くことに成功した.すなわちこのクレータの直径は4km,深さは1.5kmであることが明らかになった. このクレータの成因に関して考察を加えた結果,隕石衝突を裏付ける特殊な鉱物が共同研究者によって発見されたことから予想通り隕石衝突孔である可能性が極めて高くなった. 日本で初の隕石衝突孔ということが確認されれば,日本列島のような地殻変動が激しい地域でも隕石衝突孔が存在しうることになり,今後世界各地で発見が続くことになるだろう.そうすれば地球への天体衝突の確率がより明らかになり,地球環境と宇宙との関係がより現実的なものとして認識されることになるだろう. また,このクレータは膨大な水資源あるいは温泉としての現実的価値も有する.クレータの成因を明らかにするための学術的目的だけでなく経済的価値を検討するためにも今後1000m級の深層ボーリングの実施を含めて多方面からの研究が切に求められる.
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