研究課題
一般研究(B)
1991年の6月に噴火したピナツボ火山は、その規模は今世紀最大と言われ大気環境に大きな影響を及ぼしている。本研究ではこの噴火の影響としてどのような事が生じるのか、特に大気化学面においてそのプロセスを明らかにすることを目的とした。平成4年度においては主としてライダーによる観測を、平成5年度においては観測をつづけるとともにデータ解析を行った。これらの結果以下のようなことが明らかになった。1.ピナツボ火山の影響と考えられる、成層圏エアロゾルの増大は、単調に減衰せず、1992年の8〜10月に大きな再増大を示した2.この再増大は、新らたに火山噴火が生じたためと判定された。3.このため、ピナツボ火山の影響は見かけ上いちじるしく長期化しているように見えている。4.成層圏の窒素酸化物濃度が異常に少なくなっている。ピナツボ火山の影響と考えられる。5.成層圏の気温がエアロゾル層の中心部では明確な正偏差を示しており、エアロゾル量の増大に伴う太陽放射の散乱が増したために生じたものと判断される。これらの結果を総合すると、NOx低下、成層圏気温上昇に伴うオゾン層への影響は少なからず生じているものと考えられる。1993年12月には、エアロゾルゾンデによる気球観測も行い、今後の研究の発展のために有用な資料を得た。1994年3月には、成果をまとめ報告書を印刷した。
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