研究概要 |
本研究おいて年代測定に供する地質学試料はゼオライト相程度の低度変成岩の極微細変成白雲母鉱物(数ミクロン以下)である.この種の極微細鉱物の分離濃集技術を確立することが先決である.そこで,粘土鉱物研究に利用される水簸法を厳密に実施する方法を開発した.それは,温度環境を一定に保ちストークス法による粒径と沈降速度の関係を厳密に取り扱う方法である.それによって,数ミクロン以下を幾つかのフラクションに分けることができた.また,試料量が非常に少ない場合,分離後の乾燥と回収ロスをなくす必要がある.そのために,ドライフリーズ法を応用し成功した.現在,一連の処理が短期間に多数できるようになっている.この方法を利用して行った低度変成岩の年代学的研究成果は一部公表されてきた. 極微細鉱物の分離濃集には量が限られることから極微少量でのKーAr年代測定技術を確立する必要がある.そのために,レーザーによるAr抽出装置を開発した.既存の通電加熱型炉によるとルツボからの脱ガスのためにブランクが高くなり微少量アルゴンの定量が難しい.レーザーによれば試料自身のみを加熱することができることからブランクを極端に小さくできる.レーザー装置はNd:YAG連続レーザーである.既に、微細白雲母の加熱脱ガス実験は終了しており,数ミリグラムの白雲母は一分間以内で完全に溶融することがわかっている. 微少量試料のカリウム定量分析のための超低ブランク化学分析システムを既に開発し,分析に利用している.1ミリグラム以下でも5%の誤差で定量分析が可能である.これについても,既に学会発表がなされた.
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