超高圧下における微量元素の挙動と地球内部の化学進化に関する研究

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04452081
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 大谷 栄治 東北大学, 理学部, 助教授 (60136306)
• 研究分担者: 大沼 晃助 東北大学, 理学部, 教授 (50000865) ; 加藤 工 東北大学, 理学部, 助手 (90214379)
• キーワード: マルチアンビル高圧装置 / メージャライト / 珪酸塩メルト / SIMS / コマチアイト / ペロブスカイト / PIXE法 / 融解実験

研究概要

東北大学に設置されているマルチアンビル高圧装置を用いて25GPaと2000℃を発生するシステムをほぼ確立した。しかしながら、20GPaまでの条件での高温実験は確立し、ルーチンの実験が可能となっているが25GPaでの実験は高温安定性が不十分で実験の成功率も低いため、さらに実験システムの工夫改良を行いつつある。また約16GPaにおいてメージャライトと珪酸塩メルト、単斜輝石とメルト間の希土類元素の分配関係をEPMAおよび筑波大学との共同によりSIMSを用いて明かにした。これによって初期地球で生じたコマチアイトマグマの成因を論ずることが可能になった。また、金属鉄メルトと珪酸塩メルトそして金属鉄メルトとMgペロブスカイトの間の遷移金属元素の分配関係を明かにしつつある。高圧試料の微量元素の分析にPIXE法を用いる試みをはじめているが、現在のところ十分な分析精度は得られていない。精度を上げるために、測定条件や試料による吸収や散乱の補正法をさらに検討する予定である。また、高圧下での金属鉄の融解実験を行い、約20GPaまでの圧力において金属鉄の比抵抗測定を行い、これを用いて鉄とFeSの相転移の検出及び鉄の融点の測定を行った。

研究成果

• [文献書誌] Ohtani.E.,Suzuki.A.,Kato.T.: "Flotation of olivine in the peridotite melt at high pressure" Rroceedings of Japan Academy. 96-SorB. 23-28 (1993)
• [文献書誌] Kamaya,N.,Ohtani,E 他: "High pressure phasetransitions in a homogeneous model Martian mantle" Geophysical Monograph 74. 14. (1993)
• [文献書誌] Moriyama,J.,Kawabe,I.,Fujino K,Ohtani E: "Experimental study of element partitioning between majorite,olivine,meroinite,diopside,and silicate melt at 16GPa and 2000℃" Geochemical Journal. 26. 357-382 (1992)
• [文献書誌] Morishima,H.,Ohtani,E.,Arashi,H.: "The raman spectroscopic study for MgSiO_3 perovskite and majorite solid solutions MgSiO_3-Mg_3Al_2Si_3O_<12>" Mineralogical Journal. in press
• [文献書誌] Ohtani E.,Kamaya,N.: "The Geochemical Model of Mars" Geophys.Res.Lettors.19. 2239-2242 (1992)
• [文献書誌] Karato,S and Ohtani.E.: "Structure of the Earth Interior,Encyclopedia of Applied Physics" VCH publisher Inc., 21 (1993)