研究概要 |
当該年度は本研究の最終年度である。従って平成4,5年度の研究を継続するとともに、総合的な研究のとりまとめを行った。 (1)誘電異方性 100MHzから40GHzまで、広い範囲にわたる周波数領域で、氷結晶のC軸に電場が平行な誘電率とC軸に直交する電場の誘電率の精密な測定を行った。この結果、マイクロ波領域では、誘電異方性は一定で0.327(温度による変化は無視できる程度)であることが明らかとなった。 (2)酸および塩の効果 酸および塩を混入した氷結晶(多結晶)の誘電損失は混入量に依存して変化する。特に酸はその種類によらずH^+イオン量に比例して誘電損失が増加することが明らかとなった。この事実は酸が偏析しかつ融液(極めて微量)が形成されていることも明らかとした。 (3)積雪に対する応用 (1),(2)の結果を使った散乱理論を確立し、積雪に適用した。積雪は極めて複雑な系であるが、マイクロ波領域での誘電率の密度・粒径依存性を説明することが可能となった。この研究の測定・理論ともフランス国立科学庁・雪氷環境地球物理研究所との共同研究として実行されたものである。
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