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1993 年度 実績報告書

半導体超微細構造における共鳴電子捕獲の制御に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 04452085
研究機関東京大学

研究代表者

白木 靖寛  東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00206286)

研究分担者 深津 晋  東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (60199164)
キーワード共鳴電子捕獲時間 / トンネル障壁 / 非発光再結合 / 過剰電子
研究概要

本年度は、共鳴電子捕獲のデバイスへの応用という観点から以下の重要な知見を得た。
1.共鳴電子捕獲時間の測定
これまでの研究で、量子井戸の両ヘテロ界面にトンネル障壁を挿入することによって、共鳴効果が著しく増大することが分かっている。そこで、ガリウムひ素/アルミニウムガリウムひ素量子井戸界面に、アルミニウムひ素をトンネル障壁層(20A、10Aあるいは2.8A)として挿入した試料に対して、温度6Kにて時間分解フォトルミネセンスを行った。その結果、アルミニウムガリウムひ素障壁層からのフォトルミネセンス強度の減衰時間が井戸幅に対し振動する傾向を示し、共鳴電子捕獲が起こる条件で極小となることが分かった。この共鳴時の減衰時間が、共鳴電子捕獲時間に相当すると考えられ、175psec(トンネル障壁厚さ20A)43psec(10A)、時間分解能25psec以下(2.8A)という値を得られた。トンネル障壁厚さに伴う共鳴電子捕獲時間の増大は、障壁層からの入射電子のエネルギーの熱的な分布に対し共鳴エネルギー幅が狭く、フィルタリング効果を生じていることを示している。
2.共鳴電子捕獲による非発光再結合の増加
これまでの研究で、共鳴電子捕獲により量子井戸への電子捕獲効率が増大することが分かっている。しかし一方で、一部の試料については、共鳴条件を満たす井戸幅において、フォトルミネセンスの発光効率が低くなるという相反する実験結果も得られていた。今回、このような試料に熱処理を施したものについてフォトルミネセンスを調べることより、この現象が、量子井戸内に存在する非発光再結合中心に関係することを明らかにした。共鳴電子捕獲が起こると、量子井戸への電子捕獲効率の増大に伴い、正孔に対し過剰な電子が生じる。実験結果は、このような井戸内の過剰な電子が非発光再結合を促進することを示している。このことから、非発光再結合中心の電子捕獲速度が、正孔捕獲速度に比べ遅く、非発光再結合速度を律速していることが予想される。このように、非発光再結合過程は、共鳴電子捕獲効果を相殺してしまう可能性があり、共鳴電子捕獲をデバイスに利用するには非発光再結合中心の少ない良質の結晶が必要不可欠である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] A.Fujiwara: "Control of Electron Capture in AlGaAs/GaAs Quantum Wells with Turrel Barriers at Heterointertaces(in press)of Physics Conference Senes)" Proceedings of the 20th International Symposium on Gallium Arsenide and Related Compounds(Institute. (1994)

  • [文献書誌] K.Muraki: "Enhancement of Free-to-bound Transitions due to Resonant Electron Capture in Be-doped AlGaAs/GaAs Quantum Wells" The Workbook of 6th International Conference or Modulated Semiconductor Structuros(MSS-6). 974-977 (1993)

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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