研究課題/領域番号 |
04452098
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
朝倉 利光 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (70001188)
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研究分担者 |
原田 康浩 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (80198928)
岡本 卓 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (40204036)
魚住 純 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (50184982)
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キーワード | 多重散乱光 / 動的光散乱 / 拡散板 / 粒子懸濁液 / ブラウン運動 / 粒径計測 / 流速計測 |
研究概要 |
1.多重散乱の物理モデルとして、複数枚の拡散板が互いにある間隔をおいて重なり合っているものを考え、拡散板の運動状態とそこから得られる散乱光の時間特性との関係を理論的に考察した。自由伝搬系で検出した光強度変動は拡散板同士の相対的な速度差にのみ依存し、全体の平均速度には依存しない。それに対し、結像系を用いたときにはその解像力を変えることで相対速度と絶対速度をある程度区別して検出できることが明かとなった。従来の動的光散乱法では、散乱角を固定するために自由伝搬系が主に用いられていたが、このモデルで得られた結果から結像系の特性を有効に活用することで新たな測定法が生まれる可能性が示された。 2.理論解析の結果をもとに、微粒子懸濁液から生じる動的散乱光を検出するための光学系を作製し、微粒子濃度を変化させて単散乱領域から多重散乱領域に渡り散乱光の強度変動を測定・評価した。その結果、微粒子の運動状態と得られる散乱光強度の時間変動性との関係が明らかになった。ガラスセルに入れた試料を一定速度で動かすことにより、試料中の微粒子は一様に移動すると同時にブラウン運動と呼ばれるランダム運動を行うことになる。多重散乱体の場合、この二種類の運動が散乱光に及ぼす影響は複雑に絡み合っているため、それぞれの運動成分による影響を区別することは困難であった。しかし、結像光学系を検出系として用い、さらに照明系に工夫を加えた結果、一方の運動成分への感度だけを上げられることが判明した。その結果、ブラウン運動を利用する粒径測定の際には微粒子の全体運動の影響を抑え、流速測定のときはブラウン運動の影響を小さくすることが可能となった。
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