研究概要 |
微小な透過・反射物体のフラウンホーファー回析像の強度分布を精密測定したデータにフーリエ反復アルゴリズムによる位相回復を施し、透過・反射光波の位相分布を高感度に計測するために、本年度においては主として、入力のダイナミックレンジが大きい冷却CCDカメライメージングシステムで実際に取り込んだ回析像強度分布データを用いて光波の位相回復を行い、推定精度などをシミュレーション結果と比較検討した。昨年度は比較的大きな位相分布(位相差2lambda)を扱ったが、今年度は小さいな位相分布に対して実験を行い、本測定法の感度について入力の量子化レベルとの関係を調べた。 主な結果を箇条書にまとめる。 (1)平面波および球面波(中心と周辺の位相差がlambda/4とlambda/16)を照射した直径400ミクロンの開口の回析像実測データから光波の位相回復を行い、波面推定誤差のRMS値として、それぞれlambda/70,lambda/17,およびlambda/95の良好な結果を得た。 (2)位相差lambda/16の球面波について冷却CCDの素子温度と波面推定誤差の関係を調べ、冷却温度-30°Cでは10°Cのときと比べて、RMS誤差が1/10となった。 (3)水晶基板表面に膜厚約40nmのSiO_2の薄膜でパターン形成した位相物体を標準試料として用い、位相回復顕微鏡としての動作を調べた。位相分布を2次元パターンとしての可視化することができ、回復位相の誤差についても良い結果を得た。
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