研究概要 |
細胞にレーザーを照射して癌細胞の検出や殺傷を行う技術は実用されているものの,学理的な検証が十分とはいえず,再現性の確保に不安が残されている。 本研究では,細胞がレーザー光を吸収するメカニズムを詳細な螢光反応計測によって解明すべく,各種細胞に最適のレーザー波長を見い出すことを第一の目的とし,そのための波長変換法の一つとしてオプトガルバニックシュタルク分光の概念を引用する。またラマン散乱計測測法により,逆ストークス線の検出を試行し,癌細胞蘇生の学説の可能性を裏付けることを第二の目的とする。 平成4年度はレーザー散乱計測システムの整備を行い,現有のアルゴンイオンレーザー励起色素レーザー以外に銅蒸気レーザーを照射用レーザー源として用いる観点からCu蒸気レーザーの整備を行った。 ラマン散乱計測ではニトロベンゼンおよびアセトン等の工学材料を用い,ストークス線の検出を実行した。各種細胞に対する散乱計測も溶液中に溶け込んだ細胞から散乱されるスペクトルを計測する関係から,手法が確立できたことになる。高安定He-Cd^+白色光レーザーによる,生物微粒子およびアルコール等からの散乱実験では,波長変換率が大きく,目視によってさえも光色の変化が観測できるほどであった。次年度に予定される各種細胞実験への準備が整った。 照射用光源としての銅蒸気レーザーの整備に際しては平成4年度に購入した光オシロスコープが波形酔析等にその効力を発揮した。
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