研究概要 |
本研究では,代表的な耐熱高分子をマトリックスとする繊維強化複合材料の,最も基本的な積層構成である0゚/90゚層からなるクロスプライ(直交)積層板を用い,(1)90゚層内の初期マトリックスクラック発生,(2)マルティプルマトリックスクラック発生,(3)マトリックスクラック端部からの層間剥離発生,の各段階におけるミクロな変形・破壊プロセスを,負荷装置を付加した光学顕微鏡(OM),走査型電子顕微鏡(SEM)および走査型超音波顕微鏡(SAM)を用いる負荷中のその場観察により定量的に明らかにし,マイクロメカニクスの理論解析の実験的検証を行うことを目的とした. 1.実験材料としては,標準材としての180℃硬化従来型エポキシ樹脂(TGDDM/DDS系),およびそれを高靭化したものをマトリックスとするカーボン繊維強化複合材料を用いた.変形破壊プロセスの相違を調べる目的で,積層構成としては,基本的なクロスプライ[0/90n/0](n=4,8,12)を用いた. 2.層間剥離発生を抑制する目的で,層間に樹脂層を導入した積層板を製作し,損傷プロセスに与える効果を明らかにした. 3.高温雰囲気制御装置を取り付けた引張り試験機を用い,基礎となる応力-ひずみ関係を室温から高温にわたり求めた. 4.室温における負荷中のOM,SEMまたはSAM内のその場観察装置を用いて,(1)90゚層内の初期マトリックスクラック発生,(2)マルティプルマトリックスクラック発生,(3)マトリックスクラック端部からの層間剥離発生,の各段階におけるミクロな変形・破壊プロセスを各負荷段階でその場観察した. 5.繰り返し疲労負荷下における損傷プロセスをレプリカ法により観察し,単調準静的負荷下での挙動との相違を明らかにした.
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