研究課題/領域番号 |
04452112
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
航空宇宙工学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉川 孝雄 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (00029498)
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研究分担者 |
田原 弘一 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (20207210)
椿下 庸二 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (00116063)
尾上 憲一 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (70029429)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | MPD推進機 / 宇宙推進 / プラズマ / 電磁気力 / 外部磁場 |
研究概要 |
本研究では、外部磁場印加型準定常MPD推進機の推進性能とその放電・加速機構が明らかにされた。MPD推進機は最大62kJ蓄えることができるLC梯子回路(PFN)により駆動された。このPFNは0.6msecの間、最大27kAの電流を供給することができる。直径0.6m、長さ5.5mの真空タンクは実験前に2x10^<-3>Pa以下に排気された。外部磁場印加用のソレノイドコイルは放電回路に直列に組み込まれるか、もしくは主放電用PFNとは独立した補助PFNに接続された。その磁場の強さはコイルの中央で最大0.5Tである。以下に得られた主な結果を示す。 1)自己誘起磁場を十分に利用している作動条件のもと、性能をさらに向上させる外部磁場が存在する。緩やかな広がりノズル形状の磁場が優れ、その強さは水素に対してはコイル中心で0.3T、ヒドラジン模擬混合ガスに対しては0.1Tである。強すぎる外部磁場は性能を低下させる。 2)性能を高める外部磁場を用いた時、印加する外部磁場が強いほど、プラズマは半径方向外向きに広がる。これは回転するプラズマの遠心力に起因し、陰極先端の電流集中の緩和、陽極近傍の電流担体の不足を解消をもたらし、電極損耗を低下させる。 4)性能を高める外部磁場を用いた時、印加する外部磁場が強いほど、放電領域は上流に移行する。そのため自己誘起磁場による加速成分は減少する。これは、回転するプラズマ内の頻繁な粒子衝突が電子温度を高め電気伝導度を上昇させるためである。 5)性能を高める外部磁場を用いた時、印加する外部磁場が強いほど、放電電圧は上昇する。軸方向磁場を垂直に横切るプラズマの周方向運動が逆起電力を誘起するためと推定される。逆起電力は電気伝導度の上昇にもまして支配的である。 6)外部磁場印加時に有効に働く加速成分はスワール加速であると推定される。外部磁場印加時において、自己誘起磁場による加速の減少分をスワール加速が最も上回るとき全推力に極大値が生まれる。ある適度の強さを持つ外部磁場を印加することにより、自己誘起磁場による加速を十分に利用している準定常MPD推進機の推力をさらに高めることが可能である。
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