研究概要 |
本研究は粉体材料について“粉"の状態から成形固化に至るまでの粉体のマクロな挙動を,計算材料科学的なアプローチによって解明し,最適な粒子設計の指針を得ることを目的とする. 1)粒子間の相互作用としてまずa)静電気的な力による引力,b)弾性変化による反発力(ヘルツの式による),c)重力,d)粒子が相互に衝突する際に作用する粘弾性的な力,e)粘性媒体(空気その他)による抵抗,f)粒子相互の摩擦力等を考慮して,自然充填の際の密度あるいは安息角さらには成形挙動をシミュレーションによって調べた.その結果,a)およびf)の力が大きいほど安息角が大きくなること,また測定の方法によっても異なることが明らかになった. 2)エネルギーの散逸の要因として重要な要因として粒子の塑性変形あるなる場合について成形挙動のシミュレーションを行った.すなわち,容器内に充填した粉体を種々のひずみ速度比で圧縮成形し,三次元圧縮成形による実験と比較検討した.その結果,粉末成形の実験結果と定性的に一致することが明らかになった.定量的な点については,今後更に検討していく必要がある.粒子の変形に関しては,実際には粒子は成形中相互に複数の点で接触し複雑な変形をするはずであるが,今回用いた計算方法においては初期の状態を想定し,どの接触部でも同一の単純な圧縮変形が起こるとしている.この点を改良することによってより実際的なシミュレーションが可能となろう. 4)微小圧縮試験機により粒子の弾性変形特性の測定を行ない,マクロな挙動と関連づけることが出来た. 5)粉体層付着力測定装置を用いて銅粉体の付着力を実際に測定した.その結果粒状粉の方が,樹脂状粉よりも付着力が大きく,また焼鈍をした方が付着力が大きくなることがわかった.
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