研究概要 |
工作機械構造へ流入する単位熱量当りの熱変形挙動を予め解析して置き,その解析結果を重ね合わせることにより,実際の熱変形挙動を予測する手法を確立するため,平成4年度は(1)主軸ヘッドからコラムに単位熱量が流入したときの各位置における熱変形挙動を有限要素法で解析する,(2)コラム表面における熱的境界条件が必要であるので,熱流束計を自作し,実際のマシニングセンタ表面へ張り付けて,コラム表面の熱伝達率を求め,得られた値を中心にその前後の値を標準的な熱伝達率の値として計算に用いる,(3)コラムへ実際に流入する熱量を測定する手法を開発する,などの研究を行った。その結果,以下のような種々の有用な結果がえられた。(1)現有の縦型マシニングセンターのコラム部分に主軸ヘッドからコラムへ単位熱量が流入したときの各位置における変形挙動を有限要素法を用いて解析した結果,1000W/^2の熱流速がステップ状に流入した場合には,主軸ヘッド側のコラム側壁が大きく熱変形することが分かった。更に,パルス状に熱流速が流入した場合についても解析を行った。(2)コラム表面に厚さ1mmの断熱材を貼り付け,断熱材の上面と下面の温度,空気温度を測定することによりコラム表面の熱伝達率を測定できる。(3)熱源の温度やコラムに流入する熱量が変動する場合には,コラム内の温度を6点以上測定することにより熱源の位置やその熱量を求めることができる。
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