研究概要 |
工作機械構造へ流入する単位熱量あたりの熱変形挙動を予め解析してデータベース化しておき,その解析結果を重ね合わせることにより,実際の熱変形挙動を予測する手法を確立するために,へいせい5年度は以下のような研究を行った.(1)コラムへ時間的に変化する熱量を流入させる.(2)その熱量をコラムに取り付けた熱伝対で測定し,特性曲線を求める.(3)得られた特性曲線に応じて,予めデータベース化されている熱変形挙動のデータベースをリアルタイムで重ね合わせて熱変形量を求める.(4)工作機械周囲の熱的境界条件が変化した場合や熱源が複数ある場合について,重ね合わせによる工作機械の熱変形量を予測する.その結果以下のような種々の有用な結論が得られた.(1)工作機械構造へ流入する単位熱量あたりの熱変形挙動を予め解析してデータベース化しておき,その解析結果を重ね合わせることにより,実際の熱変形挙動を予測することができる.(2)熱変形量の予測は温度測定精度の影響を受ける.精度よく熱変形量を予測するためには,フーリエ数が1以上となる位置に温度測定点を設ける必要がある.(3)周囲の空気温度,工作機械表面の熱伝達率,工作機械内部のすべり案内面の接触熱抵抗などが変化した場合には,予めそれらの熱的境界条件かで単位熱量あたりの熱変形挙動を解析してデータベース化しておき,境界条件の変化に応じたデータベースを使えば重ね合わせによって熱変形量を予測できる.(4)複数の熱源がある場合には,各熱源が単独に発熱したときの熱変形量を求めて重ね合わせることにより熱変形量を推定することができる.
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