研究概要 |
本年度は,アーク放電プラズマCVD法によりダイヤモンド薄板を合成し,表面を熱化学反応を利用した研磨装置によりに研磨して平滑なダイヤモンド薄板を作製し,超精密切削バイトへ適用することでその機械的性質の評価を行った。このことにより,気相合成ダイヤモンドの摩擦摩耗特性が評価できる。 ダイヤモンド薄板の合成は,アーク放電プラズマジェットCVD装置により行った。そして,合成されたダイヤモンド薄板をYAGレーザにより切断することにより,3×3mm,厚さ1.2mmの薄板を作製した。 合成されたダイヤモンドは表面の凹凸が激しいため,超精密切削バイトへ適用するには表面をできるだけ平滑に研磨する必要がある。そこで,薄板の表面を熱化学反応を利用したダイヤモンド研磨装置により研磨し,刃先形状に成形した。この研磨装置により3nmRaの平滑な表面を得ることができる。また,鋭利な刃先が成形できるようにダイヤモンドの摺動方法について検討し,装置の改良を行った。刃先形状に成形した気相合成ダイヤモンド薄板をモリブデン上にろう付けして切削工具を作製した。 切削実験には空気静圧軸受,空気静圧スライダによる加工機を用い,被削材にはアルミニウム合金(JISA5083)を使用した。同形状の刃先に成形した単結晶ダイヤモンド工具との比較実験より,気相合成ダイヤモンド工具刃先の摩耗の進行具合は単結晶ダイヤモンド工具とほぼ同様であることがわかった。そして,被削材の仕上げ表面の観察から,気相合成ダイヤモンドは超精密切削加工用工具として十分使用可能であることがわかった。
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