研究課題/領域番号 |
04452130
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
片岡 俊彦 大阪大学, 工学部, 教授 (50029328)
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研究分担者 |
山内 和人 大阪大学, 工学部, 助教授 (10174575)
遠藤 勝義 大阪大学, 工学部, 助教授 (90152008)
森 勇藏 大阪大学, 工学部, 教授 (00029125)
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キーワード | 走査型近接場光学顕微鏡 / 近接場 / 表面粗さ / 圧電素子 / レーザ / 絶縁体表面 / 超精密加工表面 / ニアフィールド |
研究概要 |
光の回折限界に制限されない空間分解能を持つ光学顕微鏡として、He-Neレーザ、光電子増倍管、圧電素子による走査ステージなどによって構成される、走査型近接場光学顕微鏡の試作を行った。プローブとして透明な基板に付けた微小球(¢500nm以下)を用い、He-Neレーザ光を基板側から全反射条件で入射し微小球を消滅波で照らす形にする。近接場領域に物体を近づけるとプローブ部から放出される光の強度が距離に対し大きく変化するため、プローブの走査に応じて生じる光の強度変化から形状測定を行うものである。そして、本装置の空間分解能を検討するために標準試料を作製し、形状測定を行った。その結果、本装置は横方向に20nm以下、縦方向に5nm以下の分解能を持つことを明らかにした。他にも、イオン結晶や回折格子などの表面形状の測定を行っている。 また、プローブに試料を近づけていくときにプローブ部から放射される光の強度変化の仕方が、試料の材質によって異なっていた。さらに、プローブ部からの散乱光の遍光面は入射光と同じであった。以上のことから、プローブ周りの近接場形成のモデルとして、光誘起による電気双極子モデルを考えた。これは、入射光の振動電場によってプローブ内に複数の電気双極子が誘起され、その振動によって電磁場が形成されるものである。この振動電場により試料側にも双極子が誘起し、そこからも光が放射される。そのため、観測される光はプローブ側からの光と試料側からの光との足し合わせになっていると考えられる。プローブに試料を近づけたときにプローブ部からの光の強度が増加するか減少するかはプローブ側からの光と試料側からの光との位相関係によって決まると思われ、それは試料物質の光学定数に依存すると考えられる。このことから、近接場を利用することによって、形状測定のみならず局所的な光学定数の分布も測定できる可能性があると考えられる。
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