研究概要 |
粉末焼結金属やファインセラミックスなどの粉末焼結材の滑り・転がり機械要素への適用に関し、これらの表面損傷メカニズムを解明し、表面強さ設計に関する基礎的指針を得るため、前年度に引き続き、摩擦・摩耗特性,転がり疲れ特性,面圧強さに関する基礎実験が計画,実行された。また、接触応力解析,摩耗状況および気孔分布などの画像処理による実験結果の検討が一部行われた。 ファインセラミックスのピン・オン・ディスク試験においては、高温雰囲気中の水分量の影響が検討され、Sialonの場合、雰囲気中の水分量により摩耗量が上昇する温度が異なり、Al_2O_3の場合、摩耗量に及ぼす水分量の影響はあまりないことなどが明らかにされた。またこれと並行してファインセラミックス製スラスト玉軸受試験が水潤滑下で検討された。一方、高周波焼入れ粉末焼結ローラおよび歯車を用いて、転がり疲れ試験および歯車運転試験が行われ、表面損傷および面圧強さに及ぼす粉末粒子径,圧粉密度の影響に関して実験的に検討され、粉末粒子径が小さいほどまた圧粉密度が大なるほど面圧強さは高かった。さらに、平成4年度に新規購入した画像処理装置による解析によって、気孔分布と面圧強さの関係が検討され、円相当径意味するHeywoud Diameterの平均値よりむしろ最大値により面圧強さが影響され、この最大値が大なるほど面圧強さが低下することが明らかとなった。トライボメカニクスに関する解析面においてはまだ最終的な成果は得られていないが、ファインセラミックスの表面損傷に関しては熱的解析,粉末焼結材の表面損傷に関しては気孔を考慮したFEMによる接触応力解析により検討しつつある。
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