研究概要 |
本研究は申請者らが独自に開発した気-液-液系中空液滴生成装置を用い,連続生成される中空液滴を急冷凝固させることによる固体球殻の大量生成法の研究を行った.これは従来,米国NASAが1985年に開発した方法に比べて,装置が著しく小型であり,その構造が簡単であるとともに,中空液滴を液体急冷するため,流体力学的な外力を中空液滴に加えやすく,その流動特性や凝固特性を制御できるという利点を持つ.前年度に引き続き本年度は,中空液滴の流動特性や凝固特性を詳細に明らかにするため,亜硝酸塩系溶融塩など種々の融体を用いて,CCDカメラにより中空液滴の局所上昇速度,界面振動や変形,凝固特性,熱伝達特性および物質伝達特性に関する研究を理論ならびに実験の両面から研究した.すなわち,申請者らの独自に開発した数値解析アルゴリズムによって,スーパーコンピュータを用いて中空液滴の機能性の解析を行った.その結果,中空液滴の流動はその球状薄液膜の物性値や厚さを変えることによって,劇的に変化し,液膜の制御による流動,物質伝達の制御が可能であることを示した. 以上,初年度に提起された問題点はほぼ解決され,研究が発展したものと信ずる.なお,上記の研究成果は本報告書の研究発表覧に記述したとおり,国内外の専門学会で公表され,良好な評価を得ている.
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