研究概要 |
平成4年度においては、3次元画像処理流速計を用いてリブレット壁面上の乱流場の計測を行ない、従来情報の少なかったリブレット壁面上の3方向速度成分について精密な乱流統計量を提供した。抵抗低減条件においては、速度乱れ強さをはじめとする種々の乱流統計量の絶対値は一様に減少し、平滑面と類似の流れ場が生じることが明らかになった。リブレットの直接の影響は粘性底層に相当する領域のみに及び、特にリブレットの谷近傍ではスパン方向への乱れエネルギの再分配が抑制され、スパン方向の乱れが減少することを示した。一方,摩擦抵抗の増大条件下においては、リブレットの影響はバッファ領域にまで影響が及び、乱れ強さが等方化する等、統計量も抵抗低減条件の場合とは定性的に異なった挙動をみせ、リブレットが粗面としての効果をもつことがわかった。また,リブレットの近傍にはプラントルの第二種二次流れが存在し、抵抗増大条件においては最大速度の0.8%程度と大きいことを明らかにした. 平成5年度は,前年度得られた瞬時速度場のデータベースを用いて,四象限解析法に基づくコンディショナル・サンプリングにより,レイノルズ応力に貢献する壁面近傍の準秩序構造の抽出を行った.その結果,抵抗低減条件においては,擬縦渦構造およびストリーク構造は平滑面と類似の特性を示し,その空間スケールもほとんど変化しない.このことは,リブレット面上での抵抗低減が,壁近傍の準秩序構造の顕著な変化によるものではないことを示唆する.この場合,渦構造に比べてリブが小さく,また相対的な距離が遠いために,渦運動との間にあまり干渉が起こらず,谷の内部に組織的な流体運動は見られない.一方,抵抗増大条件では,同様の縦渦が観察されるものの,リブと渦中心の距離が相対的に近く,谷内部に渦運動の一部が侵入しており,リブレットが渦構造と強い干渉を起こしていると推測される.この場合,渦運動が谷の内部に運動量を供給するため,谷内部の壁面剪断応力が増大し,摩擦抵抗増大につながっている考えられる.また,ストリークの流れ方向長さのスケールが減少する等,準秩序構造がリブレットの影響を強く受けることが明らかになった.
|