研究概要 |
1.リキッドアイス融解試験槽の改良 前年度の研究において,流動化に使用する空気の温度により,実験結果に影響が生ずることが明らかになった。そのため,流動化空気温度を正確に制御するために,空気供給恒温槽と試験部の中間に,温度制御槽(熱交換器および電気ヒーターを設置)を設けた。これにより,±0.1度の精度で流入空気温度の制御が可能となった。 2.研究結果およびその特記すべき点 今年度は,固・気・液三相流動層によるリキッドアイスよりの直接接触採冷熱熱伝達に及ぼす初期溶液濃度,流入空気量,流入空気温度,および氷充填率の効果,さらに気泡囲りの融解メカニズムについて検討した。その結果以下のことが明らかになった。 (1)リキッドアイスより空気泡へ採冷熱を行なう場合,流入空気量が大きい,水溶液初期濃度が高い,流入空気温度が高いほど採冷熱量は大きい値となる。 (2)単位送風動力当りの採冷熱量は,リキッドアイス層高が低い,流入空気量が小さい,初期水溶液濃度が高い,流入空気温度が高いほど大きくなる。 (3)直接接触法により採冷熱を行う場合,本研究の範囲では,採冷熱量の約0.2〜0.7%の送風動力(流動化のための動力)により,水平円管等を用いる間接採冷熱法の場合に比較して,約30〜40倍高い採冷熱効率が得られる。 (4)レザーおよびシヤドウグラフ法による空気泡囲りの観察を行なった。その結果,空気泡表面に微細氷粒子が付着し,気泡は揺動しながら流動層を上昇するが,その時はげしい攪伴を伴うため粒子と高温空気との熱交換が効率よく行われるものであることが明らかとなった。これは次年度研究への朗報である。
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