研究概要 |
ガスタービンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃焼室における高温・強乱流場を再現できる,燃焼型空気加熱装置を持つ高温・高速風洞およびこの風洞と接続して使用する燃焼器を設計,製作し,空気加熱装置の性能の確認と,燃焼器の基本的な燃焼特性の測定を行った。燃焼型空気加熱装置はプロパンに水素を質量割合で10%混合したガスを燃料として高速空気中で希薄燃焼させ,燃焼で消費された酸素は別に添加して,酸素の体積割合を21%とした燃焼ガスを燃焼器に供給するものである。この空気加熱装置は,最大流量160g/sの空気を1200Kまで加熱する能力のあることがわかった。次に燃焼器は燃焼、排気特性の測定のための金属ライナの物と、燃焼状態の観察のためのガラスライナの物の2種類を製作した。燃焼器の内径は70mmで,燃焼器壁面の上下左右に取り付けた4本のノズルから,灯油を気流に垂直に噴射した。ノズルには内径0.4mmの円管を使ったホールノズルと,スワールノズルを使用した。保炎のために,円板状のブラフボディをノズルから任意の距離(混合距離)だけ離れた燃焼器中心部に設置した。燃焼器の燃焼特性の測定は気流温度,ノズルからブラフボディまでの距離(混合距離)などを変化させて行った。その結果,以下のようなことがわかった。(1)希薄吹き消えの起こる灯油流量は気流温度の上昇とともにわずかに減少する。(2)混合距離を長くすると希薄吹き消えの起こる灯油流量が減少する。しかし混合距離がある長さ以上になると,逆に増加する。(3)気流温度が高く灯油流量の大きい場合に,ブラフボディ上流で着火する逆火領域が現れる。その領域は気流温度の増加とともに灯油流量の小さい希薄側に広がる。(4)ホールノズルに比べ噴霧角が広く微粒化状態が良好と考えられるスワールノズルを使用すると,逆火領域が少なくなり、安定な不輝炎燃焼の範囲が広がる。
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