研究概要 |
平成4年度に製作した燃焼型空気加熱装置を持つ高温・高速風洞と,新たに設計製作した燃焼器を使用して,高温・強乱流場における灯油噴霧の燃焼特性の測定を行った。燃焼器は□70mmの矩形断面で,4つの面に燃料噴射用のスワールノズルを3本ずつ,合計12本まで取り付けられる構造になっておりノズルから灯油を気流に対して垂直に噴射した。保炎のために,四角形状で燃焼器断面に対する面積比(ブロッケージ比)が0.25のブラフボディを,ノズルから気流の下流方向に任意の距離(混合距離)だけ離れた位置の燃焼器中心部に設置した。燃焼器の4つの面はガラスを装着可能な構造とし,燃焼器内の照明,観察が行えるようにした。本年度はノズルを各面1本ずつ4本使用し,その配置によって燃料噴霧の気流中での分散状態を変化させた。また気流温度,混合距離,気流の流量を変化させ,これらと燃焼特性との関係を調べた。その結果,以下のようなことがわかった。(1)希薄吹き消えの起こる灯油流量は,気流温度の上昇とともにいったん減少した後,増加するが,その変化はわずかである。(2)気流温度が高く灯油流量の大きい場合に,ノズルとブラフボディの間の混合距離内で自発火が発生する。自発火が発生する灯油流量は気流温度の上昇とともに小さくなり,希薄吹き消えと自着火の間の安定燃焼の範囲が狭くなる。(3)噴霧を燃焼器内に比較的均一に分散させるようにすると,希薄吹き消えおよび自着火の起こる灯油流量が両方とも大きくなるが,自着火の起こる灯油流量の増加の方が大きいため安定燃焼の範囲は広がる。(5)混合距離を増加させても希薄吹き消えの起こる灯油流量はほとんど変化しないが,自着火は小さな灯油流量で発生するようになる。
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