1.始点・終点・複数の中間点の運動状態の拘束条件を考慮して任意の評価関数に対する最適軌道を効率的に求める解法として、高次エルミート多項式を内挿関数とする汎用的な手法を開発し、従来法に対する優位性を示した。 2.本最適軌道計画法を用いて、モータの温度上昇が高速化の制限となる多自由度ロボットアームの最短時間軌道計画法を開発した。ここでは、発熱抑制項に乗ずる未定乗数を固定せず全てのモータを最大許容発熱制限まで使用するように決定する最短時間軌道計画と、未定乗数間の比を特定の値に固定し最も負荷の大きいモータの発熱量が最大許容値に一致する駆動時間で全体を駆動する準最短時間軌道計画とを比較研究した。その結果、未定乗数間の比を各モータの発熱許容値の逆数比に設定すれば常に最短時間軌道に近い準最短時間軌道を安定して得られることを明らかにした。 3.重力や摩擦の影響を受けない保存系の最小発熱軌道は、評価関数中の未定乗数間の比が一定ならば駆動時間の変動に対して相似形となることを明らかにした。この原理に基づき、水平面内保存系機構部と垂直方向線形機構部からなる3自由度スカラ形ロボットアームの最短時間軌道を求める高速計算手法を提案した。 4.垂直3自由度ダイレクトドライブロボットアームおよびDSPを用いた高速駆動用制御装置を製作した。そして2点間を往復する繰り返し動作を、最小発熱軌道と従来の三角形および台形速度軌道を用いて駆動し、モータ部に取り付けた熱伝対温度センサによりモータ温度上昇を計測した。その結果、最小発熱軌道を用いることによるモータ温度上昇抑制効果を確認した。
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