平成4年度のダイレクトドライブロボットの最短時間軌道解析法の研究に続いて、平成5年度は最適化計算法の高度化と運動パターン画像解析システムの構築を行うと共に、生体の運動のような特殊な拘束条件を有する多関節機構の最適運動の解法と運動解の力学構造に関する基礎研究を行い、以下の成果を得た。 (1)非線形数理画法として共役勾配法、共役方向法、準ニュートン法、修正ニュートン法等を比較検討し、計算速度の点から準ニュートン法が、評価関数最小化の点から修正ニュートン法が優れていることを明らかにした。 (2)軌道拘束条件の少ない多自由度運動として人間の投球動作を2自由度リンク機構にモデル化し、消費エネルギー最小で一方向の投球速度最大の運動解を投球時間をパラメータに求めた。軌道拘束条件が少なくなるにつれ、エネルギーレベルの異なる各種の解が得られることが分かった。 (3)アクチュエータのない機構自由度を有し、運動方程式が拘束条件となる非ホロノミックな運動例として、手に回転トルクが作用しない鉄棒の大車輪運動を取り上げ、この2自由度および3自由度モデルにおける最適運動をエルミート多項式近似法、ペナルティー法および修正ニュートン法の組み合わせにより導けることを明らかにした。また、2自由度モデルにおいて鉄棒部の乾燥摩擦および腕の回転角制限の大車輪運動に及ぼす影響を明らかにし、3自由度モデルを用いると手のトルクがより零に近い非ホロノミックな運動解が得られることを明らかにした。更に平成4年度に試作したダイレクトドライブ垂直多関節ロボットアームを用いて非ホロノミックな最適軌道の理論解と実験とを比較し、理論解析の妥当性を検証した。 なお予定したニューラルネットワークを用いて最適運動を求め解析解と比較する研究は、時間不足のためできなかった。
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