1各種ナノ構造Siからの可視領域発光 (1)SiドープSiO_2ガラス:スパッタ法で形成されたSiドープガラスは熱処理後強い赤色発光を示すことを見い出した。PLのみならずELの観測にも成功した。ELのパルス測定によって、減衰の時定数は約0.4msecでかなり遅い再結合過程であることが分かった。 (2)Si超微粒子:当初、アルゴンガス中でのガス中蒸発法でSi超微粒子の形成を行ってきたが、その後、水素中で形成することによってより粒径のそろった微粒子が形成できることがわかった。水素中で形成された微粒子の特徴は酸化処理を施さなくても強い可視領域発光を示すことである。この微粒子をSi基板とITOガラスの間にはさんだサンドイッチ構造の試料でELが観測された。 (3)酸素を含んだSiナノ構造:酸素を含んだアルゴン中でSiのガス中蒸発を行うと、超微粒子が数珠状に連なったSiナノ構造が形成されることが分かった。この構造はSiO_xから成り、強い青色発光を示すことが明らかになった。 (4)ポーラスSi:ポーラスSi中のSiナノ構造の実体は、nmサイズのSi超微粒子であることを見い出した。ポーラス層形成時の化成温度を0℃から40℃まで変えることによって、室温での発光強度を10^4倍変化させることができた。200K付近の低温ではいずれの場合も強い発光を示すことから、非発光再結合速度の違いで発光強度に差が出ていることが明らかになった。 2発光機構 各種のナノ構造Siからの赤から黄色の発光については、その発光強度の温度依存性が極めて似通っていことから同種の機構である可能性が強い。光吸収の過程には量子サイズ効果による吸収端のブルーシフトが関与しているが、発光には微粒子表面/界面付近に存在すると思われる発光センターが重要な役割を担っている可能性が強い。青色発光はSiO_x中の酸素欠陥に関係していることを見い出した。 3今後の展望 Si超微粒子をデバイス化するには、適当な媒質に微粒子を分散させる必要がある。ある種のワイドバンドギャップ半導体膜のコーティングなどが有効であろう。将来的には、Si超微粒子を人工原子と見立ててこれらを人工的に配列させてある種の新しい機能を持たせる可能性も検討されるべきと考える。
|