研究課題/領域番号 |
04452175
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐々木 昭夫 京都大学, 工学部, 教授 (10025900)
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研究分担者 |
若原 昭浩 京都大学, 工学部, 助手 (00230912)
野田 進 京都大学, 工学部, 助教授 (10208358)
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キーワード | 不規則超格子 / 不規則結晶半導体 / SiGe / AlGaP / AlGaAs / 局在準位 / 有機金属気相成長法 / 有機V族 |
研究概要 |
我々は半導体材料の発光効率を向上させるため不規則超格子というまったく新しい半導体材料を提案した。これまでに、AlAs/GaAs不規則超格子をMBE法によって作製し、通常の規則超格子およびバルク混晶より77Kで2000倍、室温で20倍強い発光を得ている。本年度は不規則超格子構造を短波長光デバイス用の材料として注目されているAlP/GaP超格子に応用し、以下の結果が得られた。まず、超格子作製の基礎実験としてGaPおよびA1GaPの結晶成長を行った。Pの原料としてPH_3に比べて毒性が低く、熱分解温度の低いTBPを用いた。GaPの成長では、成長温度740℃、V/III比20において表面モホロジーが良好で、残留不純物濃度が7.4×10^<14>cm^<-3>の高純度な結晶が得られた。AlGaPの成長ではAl組成が高くなるに従って表面にヒロックが高密度に形成され、表面モホロジーが悪くなる傾向が見られた。成長温度を上げることによって(740℃→770℃)、表面モホロジーがある程度改善されたが、完全鏡面のものが得られなかった。ここで、我々は(NH_4)_2S_X処理という独特な基板処理方法を試みた。この処理を行うことによって、750℃以下の低温においてAl組成全域にわたって完全鏡面の結晶が得られた。さらに、Al組成0.78膜厚1μmの成長層の二結晶X線回折の半値幅は(NH_4)_2S_X処理により130秒から30秒まで狭くなって、結晶性も大きく改善されたことが分かった。この成長温度はPH_3の場合に比べて100℃以上も低い。以上の結果を踏まえて、我々はさらにAlP/GaP系規則、不規則超格子の成長を行った。[(AlP)_<17>/(GaP)_<17>]_<70>の規則超格子のX線回折パターンでは超格子構造によるサテライトピークが5次まで観測され、良好な超格子構造が形成されていることが分かった。また、超格子の界面急竣性を評価するため、X線回折のシミュレーシュンを行い、超格子の界面急峻性が1分子層以下であることを確かめた。さらに、この方法を用いてAlP/GaPの不規則超格子を作製し、低温(9k)で規則超格子およびバルク混晶より数十倍強い発光が得られ、不規則超格子構造が間接遷移型半導体の発光効率を向上させるのに有効であることが確認された。
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